稽古
武のエッセンスは不動の中で動を学ぶ事です。
稽古では身体と精神の機能を互いにフィードバックしながら日々行います。
呼吸
息を止める時、一般的には吐こうとするのをこらえようとする止め方になってしまいますが、武術での場合吸おうとする働きと吐こうとする働きが同時に動いて結果として止まり、気配を消す事になります。
つまり技の本質を「心」と「呼吸」に置く事で気配を感じさせない目に見えない技となりうるのです。
(武術家 甲野善紀 「矛盾を使いこなす古の武術の智恵」より)
争力
争力とは「離そうとするとくっつきたがり、くっつけようとすると離れたがる」反発感覚の事で争力をイメージする事によって意識的な負荷をかけ動きのもととなる諸筋肉に対する指令系を訓練することができます。
争力を鍛えると太極拳のように「ゆっくり動作でスピードをつけ柔らか動作で瞬発力をつける」事が可能になりエキスパートになるほど不動に近づくといわれています。
またバーベル運動では重力に逆らう一方向の力だけを筋力鍛錬しますが、争力では筋肉の直接緊張がない代わりに意識を使う事によって上下、左右、前後の多方向の筋力指令系を同時に訓練します。
型
「型」は形骸化されているのがまず普通でそのままでは役に立ちません。
しかし、正しい動きを学ぶための理論であり、争力の感受性を前提とし、またそれを育てる唯一の道標でもあります。
「型」を用いた技の習得方法は分析的・理論的な西洋的技術観とはまったく違い直接的・感性的なものを習得する事を目的とし、定式化されたひとまとまりの運動として全体を把握させることと同時に局面と局面とのあいだに存在する時間空間的な「間」や変化する「気」をも含めて学びます。
競技
競技には集団で技術を進展させる性格があります。
けれどもルール外の技術は無視されがちになり、特定のルールを離れると使えない事が多くなる傾向があります。
逆に競技性を捨ててしまうと型として結実した技術があるとしてもそれが実際にはどのような局面で使えるかがわからなくなったりする傾向があります。
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